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北海道を超えて世界へ!世界に羽ばたき白糠の水産加工を支える【東和食品】

白糠の地で水産加工を行う「東和食品」。
北海道の魚だけでなく、世界の海から自分達の手で買い付けを行い、国内外の多くの水産物を取り扱っています。

白糠町のふるさと納税でも、エンペラーサーモンや数の子、北海道産の秋鮭を原料とした鮭とばなどが大人気!

ヒット商品を次々と生み出す東和食品の東良明さん、矢澤有司さんにお話を伺いました。

東和食品って?人気商品は?

東和食品は、お取引している百貨店や個人の方など、お客さんの希望や意見を取り入れながら一緒に商品開発を行ってきた会社です。現在では国内外問わずさまざまな国や地域から食材を仕入れていますが、もともとは地元道東で獲れた水産物加工をしてきました。

主軸になっている商品は、より自然に近い環境で養殖することでキングサーモンより上質と言われている「エンペラーサーモン」や本チャンと呼ばれるコリコリした食感の「数の子」。

国産の食材を使った商品は「秋鮭」が柱になっています。秋鮭や新巻鮭といった北海道産の鮭を使っていますね。そこから生まれた「鮭とばイチロー」は、1994年発売時から長らく愛される大ヒット商品になりました。

会社のはじまりは「数の子」と「筋子」から?北海道から未開の地、アラスカへ

東和食品は1972年、道東で獲れる水産物を加工するために設立された会社です。当時は食品輸送技術が今のように発展していなかったこともあり、漁獲した場所で加工するのが基本。当時の先代が、水産物が豊富な道東白糠に工場を建てたんです。

ですが、1970年代はオイルショックによる漁船燃料の高騰や、事実上の200海里水域設定(※1)により、遠洋漁業での漁獲量が著しく減少。輸入に頼らざるを得なくなったんですよね。

そんな背景もあり、大手商社と協力して、未開の地へにしんや他の水産物を探しに出ました。それがアメリカのアラスカ州です。

アラスカに渡った先代の社長は、日本で親しまれている数の子や筋子が獲ったその場で捨てられるという衝撃的な光景を目の当たりに。アメリカでは魚よりも肉が好まれる文化性もあってか、魚卵は食べられることなく捨てられていたんです。

「日本人が好きな魚がここには大量にある」
その場で魚を下処理・加工するため、初めは突貫でテントを張って対応していたようです(笑)。そこから、現地工場や輸送船に加工場を用意したり、現地スタッフに技術指導したりするなど、徐々に輸入の体制を整えていきました。この働きかけが、今日本でアラスカ産の魚を当たり前に食べられている生活の土台となりました。

※1:1977年、米国およびソビエト連邦をはじめカナダや欧州共同体(EC)諸国が200海里水域の設定に踏み切ったこと。
水産庁, (1)遠洋漁業等をめぐる国際情勢, https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h28_h/trend/1/t1_1_2_1.html

大ヒット商品「鮭とばイチロー」の誕生秘話

一方で、国産の魚を使った商品も数多く手がけています。
その代表が「鮭とばイチロー」。です。鮭とば自体はめずらしくない時代に、どうしてここまでの大ヒットを生み出せたのか。

今では食品の出荷先も多様化していますが、当時の主な出荷先は百貨店でした。
百貨店ごとに欲しい魚や魚のサイズが細かく決まっていて、そこに当てはまらない魚は売れません。また、数の子やいくらはお正月が一番の最盛期。お正月に向けて稼動を高めると、どうしても閑散期には人材が余剰になります。

「規格外の魚を使い、年間を通して作れる商品を」という無駄をなくす発想から、鮭とば開発を開始しました。

とはいえ、当時からどこの水産加工会社でも鮭とばは定番商品。同じものを作っただけでは埋もれてしまいます。
東和食品ならではの商品を生み出せないかと模索し、開発チームは鮭とばの「硬さ」に着目しました。

鮭とばは通常硬くて長く、食べるためには手でむしる必要がありますが、一口サイズにむしるには大人でも力が必要。
「お年寄りや子どもでも食べやすい鮭とばを作ろう!」通常は鮭の繊維に沿ってスライスするところを、業界初、繊維を断ち切るようにスライスする技術を開発しました。こうして、むしる強い力がいらない、口当たりが良く食べやすい鮭とばを開発しました。

ネーミングにも特徴がほしいとダジャレを効かせて「鮭とばイチロー」と命名。ジロー、サブローなどシリーズ化も視野にいれたネーミングでした。実現はしませんでしたが(笑)。

すると、発売の翌年、当時オリックスに在籍していたイチロー選手が大活躍!その人気もあってか爆発的に売れました。こうして、規格外のため販売が難しかった魚を使い、年間を通して生産できる商品が生み出されました。

鮭とばイチローがベースとなり、他にも年間で作れる加工食品生産も徐々に増やしてなるべく閑散期にも仕事を生み出し、食品ロスをなくせるように工夫しています。

水産物業界の流れは「養殖」に

東和食品ができた当初と比較すると、国内の水産物事情は大きく変わりました。以前は養殖技術が発達していなかったので、魚が獲れないのなら獲れるところまで行くしかなかった。養殖魚は「養殖臭い」「やっぱり天然魚が1番」と思われていたんです。

それが、今では養殖の方が脂が乗り、品質も一定で美味しいと言われるものも開発されるほどに。養殖ブランドも次々と出て、養殖産業が発達しました。消費者側も、養殖魚に対しての抵抗がほとんどなくなったのではないかと思っています。

東和食品は「お客さまのニーズ」と「小さな工夫」で成り立ってきた

そんな情勢のなか、東和食品はどう進んでいくのか。

東和食品は、養殖魚も数多く取り扱っています。東和食品が大切にしているのは「お客さまのニーズに応えること」。産地や天然・養殖かはあまり大きな問題ではありません。

創業当初から、お客さまが叶えたいニーズに応えるため、お客さまと一緒に商品を開発してきました。時には困難なオーダーも多く、どうすれば実現するのか、頭を悩ませ、日夜試行錯誤を重ねます。

そして、ただニーズに応えるだけではなく、お客さまが本当に満足してくださる商品を作るため、今まで培ってきた技術と経験を糧に小さな工夫を積み重ねています。

たとえば、数の子の塩水漬け。通常の塩数の子は、酸化しやすく塩抜きに時間がかかります。東和食品では、1番美味しい状態で長く食べてもらえるよう、塩水に浸かった状態のままご自宅まで届けています。

ふるさと納税で大人気のエンペラーサーモンも、ただ真空パックにしているわけではなく、実は調味液に着けているんです。そうすると魚から程よく水分が抜け、旨味が高まります。
鮭とばイチローのスライスも、当時は困難だった技術を1から開発。少しの工夫のなかに美味しさの秘密が詰まっています。

「美味しく、ご満足いただける商品を作る」小さな工夫を積み重ねた結果、水産加工においての信頼を築いてきました。時代が変わり、我々に求められるものも刻一刻と変化していきますが、初心を忘れずに真摯に向き合っていきたいと思っています。

東和食品株式会社
〒088-0592 北海道白糠郡白糠町西庶路東3条北3丁目2番地1号
TEL:01547-5-2014
URL:https://kyokuichi.com/company/touwa/
*取引申し込み等に関しては事前連絡の上、了承を得たのちに訪問してください。