映画『シサム』の舞台裏を旅しよう!出演者たちが愛した白糠町の魅力とは?
アイヌと和人の歴史を描いた壮大な歴史スペクタクル映画『シサㇺ』が、ついに2024年9月13日(金)より全国公開されました。この映画の多くは白糠町で撮影されており、出演者の方々も町に長く滞在したことで、お気に入りのお店やスポットができたようです。今回白糠町公式noteでは、出演者の方々にアンケートを実施し、ハードな撮影を支えた白糠町のグルメや思い出の場所などをお聞きしました。よく通ったお店からちょっぴり意外なスポットまで、お店の方から聞いたエピソードも交えて、映画を観たあとにも『シサㇺ』の世界を感じられる“聖地巡礼”スポットをたっぷりとご紹介します。
町の飲食店はほぼ制覇!?役者・スタッフの身も心も満たした白糠町グルメ
JR白糠駅から徒歩3分、国道38号線から1本北に入ったところに、「ハミングロード」と呼ばれる白糠町の繁華街があります。この通りの周辺にはホテルや飲食店が点在しており、撮影期間中は、多くのキャストやスタッフが訪れました。
その中でも、主人公・⾼坂孝二郎役を演じた寛一郎さんをはじめとする数多くの出演者が「よく行った」と回答してくれたお店が、『焼肉ますや』です。
貴重なエピソードを披露してくれたのは、アイヌ村リーダー・アㇰノ役を演じた平野貴大さん。「寛一郎君らとともに4人で食事をしました。ほぼ初対面の中、若者に混ぜてもらって肉を食べるという幸せな時間を過ごしました」と、撮影初期の段階から『焼肉ますや』を利用していたようです。
その当時の思い出を、『焼肉ますや』のオーナーである高久頼子さんにお伺いしました。
高久:ジンギスカンやカルビ、そしてサガリ(ハラミと同じく横隔膜の一部)などが人気で、皆さん「おいしい」と、色々と食べてくださいました。最初に来てくれたのは、平野貴大さんと佐々木ゆかちゃん(アㇰノの娘・ヤエヤㇺノ役)だったかと記憶しています。最後の方には、寛一郎君が貸切になるくらいスタッフさんを連れて来てくれましたよ。
寛一郎君は、私のことを「お母さん」って呼んでくれて、とても素敵な方でした。ある日少しだけ遅い時間に、「お母さん、寛一郎です。撮影が終わって、今からお店にお伺いしてもいいですか?」なんて事前に連絡をくれて、本当にスマートな方だなと感激しました。
一人でフラッと立ち寄れる『焼肉ますや』。昼でも夜でも食べられる人気のメニューとは?
焼肉屋でのシメといえば、石焼ビビンバや冷麺などが一般的ですが、『焼肉ますや』で人気のシメは、なんとラーメン。醤油や味噌、そして塩味と、本格的なラーメンを味わうことができます。常連ともなると、卵スープに中華麺を入れた、“たまスーラーメン”なる裏メニューを注文する人も。卵スープのやさしい味わいが、お酒を飲んだ体に染みわたるそうです。
高久:佐々木ゆかちゃんも、お昼にフラッと一人でラーメンを食べに来てくれました。スタッフさんにもうちのラーメンが好評だったようで、緒方直人さんを連れてきてくれたこともあります。焼肉屋ではありますが、昼夜問わずラーメンだけでも、もちろんOKです。映画を観て白糠町へお越しになる皆さん、ぜひお店で白糠の味を楽しんでくださいね。
映画のキャストたちが愛した喫茶店。長居したくなる『喫茶 As house』
続いてご紹介するのは、女優陣から多くの支持を得た『喫茶 As house(アズハウス)』(以下、アズハウス)。ここは、コーヒーや紅茶、軽食などの喫茶メニューはもちろん、ご当地メニューまでも味わえるお店です。
アイヌ村の老婆・アイシナ役を演じた佐藤直子さんは、「お酒を飲まないので居酒屋にはあまりお邪魔しませんでしたが、町の飲食店はほぼ制覇したと思います」と明かし、その中でも特にハマった一品として、アズハウスの『白糠タコつぶステーキ丼』を挙げてくれました。
ご当地メニューでもある『白糠タコつぶステーキ丼』は、たっぷりの野菜あんかけに、タコつぶと柳だこがトッピングされており、北海道の恵みが詰まった豪快な一品です。丼と名前がついているにも関わらず、丼ではない状態で運ばれるのも、これまた楽しみのひとつ。ごはんの上に自分であんかけを乗せて、食欲のままにひたすら食べるというのが公式の食べ方なのです。
もう一人「行きつけのお店」として『アズハウス』を紹介してくれたのは、アイヌの女性・リキアンノを演じたサヘル・ローズさん。和人に夫を殺されてしまったという孤独で切ない役柄だったからこそ、あえて一人で『アズハウス』に通っていたそうです。
そんなサヘル・ローズさんが、“真心が感じられる最強メニュー”とイチオシするのは、タマゴサンドとエビピラフ。あの味が未だに忘れられないと明かす中で、同じように忘れられない存在になったというのが、アズハウスの店主である稲川万知子さんです。
「なんといっても万知子さんの人柄が素晴らしくて、心の栄養もとりに行っていました。忘れられない人情味あふれる喫茶店。“ただいま!”と“お帰りなさい!”が行き交う愛情たっぷりのお店です」と、その魅力を語ります。
サヘル・ローズさんのお腹も心も癒したという『アズハウス』。そのご当人である稲川万知子さんに、当時のお話をお伺いしました。
稲川:撮影中は、俳優さんをはじめスタッフさんもたくさんいらしてくださいました。その中でも、最後まで毎日のように通ってくれたのがサヘル・ローズさん。最初は気付けず、「すごくキレイな人だなぁ」と思わず見とれてしまいました。お店の名前である“アズ”が、サヘル・ローズさんの親友と同じだったことから、なんとなくお店に入って来てくれたそうです。
いつも同じ席に座って、毎回たくさんおしゃべりするようになりました。最初は映画の話をしていたのですが、だんだんお互いのプライベートの話もするようになって、撮影が終わった今でもやり取りが続いています。この映画をきっかけに、大切なお友達ができたと思っています。
オープンから35年経つ今も、学生からお年寄りまで次から次にお客さんが訪れる『アズハウス』。人気の理由は、お店を切り盛りする稲川さんの人柄に加えて、ボリューム満点のメニューと驚くほどの価格にあります。
稲川:低価格で楽しんでほしいので、極力価格を上げない努力をしています。知り合いの漁師さんから直接仕入れるなど、食材の鮮度にもこだわっています。『白糠タコつぶステーキ丼』も、地元の食材をたっぷり使用していますので、ぜひお店へ食べに来てくださいね。
一日のはじまりはここから。ハードな撮影を陰から支えた『ホテルまつや』
白糠町での撮影は約1カ月にも及び、映画関係者の宿泊先は町内のホテルでした。寛一郎さんや、サヘル・ローズさん、佐々木ゆかさんなど、数多くの出演者が家のように過ごした場所が、『ホテルまつや』です。今回特別に、寛一郎さんが宿泊した303室を見せていただきました。
空いていれば寛一郎さんと同じ部屋に宿泊することも可能とのことなので、興味のある方は、予約時にぜひ直接ホテルにお問い合わせください。
1階に位置する大広間は、出演者の控室として使われるなど、撮影時には様々な役割を果たした『ホテルまつや』。館内には、和室・洋室合わせて5タイプ客室があり、人数や希望に応じて対応しています。うれしいのは、大浴場も完備しており、手足を伸ばしてゆっくりと旅の疲れを癒すこともできます。
おいしい食材があふれる白糠町では、夕食や朝食も楽しみのひとつ。季節や仕入れの状況によりますが、映画の中で孝⼆郎が食べたアイヌ料理「かじか汁」がメニューに入っていることも。
ホテル内に併設されているレストラン『旬料理 心』では、白糠町の食材にこだわったコースなども味わうことができます。宿泊者以外でもレストランは利用可能なので、食と食材の町・白糠のおいしいものを思い切り堪能したいときは、前日までにご予約をお願いします。
出演者を癒した白糠の風景。海と市街地を一望できる『岬の森東山公園』
撮影の合間や休みの日、ちょっとした息抜きにと、出演者たちの癒しに一役買っていた白糠町の風景。
「ホテルから近い海沿いには、よく行っていました。そこでセリフを覚えていた方もいます。役者にとって癒しのスポットだった気がします」(寛一郎)、「海岸が美しく、砂浜もキラキラしていていました。波もあるため、釣りもサーフィンも最高に楽しめそうな印象がありました」(サヘル・ローズ)、「町と海が一望できるところがあり、霧が晴れた日は最高の眺めでした」(平野貴大)と、白糠の大自然に癒されたという意見が続出しました。
そんな「これぞ白糠!」という光景を一度に楽しめる場所が『岬の森東山公園』。ここは、町内屈指の絶景ポイントです。白糠市街地の東側に位置する東山を上ると展望台が整備されており、目の前には果てしなく続く海岸線と、白糠の町並みが広がります。日中はもちろん夕暮れ時や夜景も美しく、訪れる時間帯によってさまざまな表情を見せてくれます。東山公園の入口には、アイヌ文化活動施設『ウレシパチセ』もあるので、映画の世界に浸れるスポットともいえるのではないでしょうか。
また明日も頑張るために。英気を養った『サンアリーナしらぬか』
映画の出演者たちが、日々の疲れをとるために通っていたと挙げてくれた施設が、『サンアリーナしらぬか』。ここは、温水プールや最新のマシンが揃ったトレーニングジムに加え、温浴施設「天然鉱石風呂しらぬかの湯」が併設されています。
しらぬかの湯は、新潟県の『栃尾又温泉』付近で産出された溶解性風化鉱物トゴール・ウォームタイトを使用した人工温泉です。その水質は天然温泉に近く、とても柔らか。筋肉や関節の痛み、体の凝りなどを和らげる効果が期待できるため、撮影のために山に入ったり武器を持って戦うシーンがあったりと、体を酷使する出演者の皆さんにとって、ホッと一息つける場所になっていたようです。
また、善助役の和田正人さんや、和人反発派の村のリーダー・イカシコトシ役の藤本隆宏さんは、撮影の合間を縫ってジムへ通い、トレーニングに汗を流していたそうです。
こちらの施設は、もちろん町民以外でも利用が可能。聖地巡礼の締めくくりに、しらぬかの湯でひと風呂浴…なんてプランはいかがでしょうか?
ノスタルジックな気分になれる町・白糠。さぁカメラを持って出かけよう!
最後にご紹介するのは、白糠町の日常に溶け込む意外な場所。JR白糠駅すぐ横に位置する陸橋です。佐藤直子さんは、「ここから見る夕焼けがとても素敵だった」と語ってくれています。
町の南北を繋ぐこの陸橋は『しらぬかの湯』へ行くために利用したそうで、眼下には、まっすぐに伸びる線路と1両編成の列車が行き来しています。確かに、ここから見る景色はどこか懐かしく、穏やかな気持ちになる“ほっこりスポット”かもしれません。
白糠町では、丹頂鶴やエゾシカ、キツネといった野生動物が普通に道路を歩いていると、シャッターチャンスも数多くやって来ると思います。ぜひカメラ片手にお越しください。
今回ご紹介できた飲食店はほんの一部で、このほかアンケートには、『居酒屋 乙女』、『居酒屋 しん』、『老麺 やはた』、『レストラン はまなす』、『食事処 エランドール』、『38番ラーメン』と、数々の店名が並びました。
映画を観終えたあとは、出演者の皆さんと同じ目線に立って聖地巡礼を楽しんでみませんか? きっと、『シサㇺ』の世界を肌で感じられる旅となるでしょう。
*ご紹介した飲食店や施設の情報は、記事公開当時のものとなります。